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ゼネコン談合の話、池井戸潤の「鉄の骨」

ページ数が多くて躊躇していた池井戸潤の「鉄の骨」。長時間電車に乗る機会に恵まれた?ので一気に読んでみました。

鉄の骨

読みだしたら今回もやっぱり止まらない。これが怖かったんですよ。読み出したら止まらないから、長い小説だと他の時間を取られる。

今回は電車で往復12時間ほど乗ってましたので、「鉄の骨」のボリューム感が丁度良かったです。

「鉄の骨」のあらすじ

中堅ゼネコンの一松組に入社して4年目の富島平太はある日突然、業務課への異動を命じられる。大学の建築学科を卒業し、入社以来現場を担当してきた平太にとって、営業を担当する業務課は正に畑違い。
着任早々、区役所への挨拶を命じられた平太は、公共工事の最低入札価格や指名入札業者の数に探りを入れる上司と役人とのやり取りにはらはらする。その日の夜の飲み会で平太は、業務課が通称「談合課」と呼ばれる部署であること、談合がなければ建設業界は立ち行かないため談合は「必要悪」であることを聞かされる。
談合は本当に悪なのか、平太の苦悩の日々が始まる。時を同じくして、2000億円規模の地下鉄敷設という大型公共事業の情報が入る。一松組は独自技術によりコスト的優位に立つが、社内外のしがらみから、一松組そして平太も談合に関わらざるを得なくなる。地検特捜部が水面下で捜査を進める中、この大型公共事業の入札が始まる。入札の結果は、そして一松組と平太の運命は。

あれだけ談合で摘発されているにもかかわらず、脱談合というのは公共工事の入札の構造上難しいらしい。談合は業界内では必要悪と思われているらしい。

ゼネコンの業界事情はよくわかりませんが、入札の構造上の問題はそもそも景気対策として公共事業をやり続けてきた弊害なのじゃなかろうか。

なぜ若手の富島を抜擢?

若手社員の富島を業務課へ抜擢したのは常務の尾形。しかも尾形常務は富島を競馬場でゼネコン業界では天皇と呼ばれる超大物の三橋と合わせることに。そして三橋に気に入られた富島は三橋との連絡担当となる。

これが結構肝でした。

なぜ若手社員である富島を三橋との連絡担当にしたのか。尾形のしたたかな策略がありました。

面白い!

談合アカン!

「鉄の骨」を読むと、談合がなくならないのはなぜか?というのがよくわかります。

行政は安く工事を発注したいが、安く受けた業者の技術力が低くても困るし、倒産して工事がストップしても困る。業者は入札で仕事を取りたいが、安過ぎて受けると赤字になってしまう。難しい話です。

ただ談合をやってしまうとメーカーの進化はないので、やっぱり談合はアカン。

「鉄の骨」は2007年5月号から2009年4月号まで連載されていた作品なので、10年以上前の作品。10年も時が経っているので、業界の談合に対するコンプライアンスも良くなってきていると思いますが。

その他の読みどころ

富島平太と野村萌、園田俊一の三角関係も見逃せないポイントとなっています。エリートの園田俊一に、富島平太の恋人である野村萌が惹かれていくところとかリアル。

そして野村萌と園田俊一が勤める銀行が、池井戸作品にはちょいちょい出てくる白水銀行。

また「鉄の骨」の談合に絡む大物政治家の城山和彦は、池井戸作品の「民王」にも登場していた確か。

他の作品にもつながっているというのもアクセントとなり、池井戸作品の面白さの秘密と思っています。

まとめ

「鉄の骨」文庫本で646ページ。かなり長い小説ですが、面白いので挫折することなく澱みなく読み進めることができました。さすが吉川英治文学新人賞作品。

今回の池井戸作品も当たりでした!

鉄の骨