名軍師・森岡毅著「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方」で楽しくマーケティングが学べました

森岡毅さんの前著「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」が絶妙に面白かったので、今回2作目の「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」を読んでみました。

USJを劇的に変えた。たった一つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

こちらは前作とはテーマが違う内容でしたが、前作を上回るほど面白く、興味深い内容に仕上がってました。何より、読みやすいのがイイ。

「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方」はマーケティングがに特化した本

前作「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」はUSJのV字回復に焦点を当てた本でしたが、今回の「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」はマーケティングに焦点を当てた本。入門て書かれている通り、自分のようなマーケティングど素人でもわかりやすかった。

そりゃそうで、森岡さんの娘さんが、読んで理解できるように書いたのだそうです。

本書の目的

森岡さん、長女の質問の「マーケティングって何?」に答えようと、マーケティングを知らない人でも分かりやすい本を探したところ、この世にないことに気づいたそうで、この本を執筆するきっかけになったそうです。

で、本書の目的は、

  • 個人も会社もビジネスで成功するためのカギである「マーケティング思考」を伝えること。
  • 私が体得してきた「キャリア・アップの秘訣」を伝えること。

P007

とのことです。

ビジネス以外にも応用できそうなマーケティング、USJをV字回復させた森岡さんのキャリア・アップの秘訣が学べるのはワクワクしますね。

マーケターは企業の軍師

マーケターは企業の軍師ともいえる役割を担う立場にあるそうです。「どう戦うか」より前に「どこで戦うか」が大事。会社を正しい方向へ導いていくのがマーケターの重要な仕事。

「どう戦うか」は戦術、「どこで戦うか」は戦略。戦略家がマケーター。

確かにマケーターは三国志の諸葛孔明のようです。「どう戦うか」を考えるよりも「どこで戦うか」をじっくり考えないと、まったく無駄なところで戦ってしまい、時間・人力・お金を無駄に使ってしまいます。

USJのV字回復の肝

森岡さんによると、USJのV字回復の成功で、USJを変えたところは一つだけだそうです。変えた項目は多数あるのはもちろんですが、全ての根本的な改革は「消費者視点(Cunsumer Drive)」。これが肝。

消費者の方を向いて消費者のために働くという価値観と仕組みにUSJを変えたことで、USJのV字回復の原動力になったのだとか。

「消費者視点」は消費者が喜ぶことは何でもかんでもやるということではなく、消費者価値に繋がることをやるということ。何でもかんでも消費者の要求に応えてしまうとコストがかかりすぎて中長期で消費者価値を生み出せなくなってしまうとのこと。

費者価値に繋がることを見極めるのがマーケターの重要な仕事になります。言うのは簡単だけど、実際には実戦で見極めるのは難し仕事のような気がします。

日本企業はマーケティングはできていない

日本は技術志向に偏りすぎて、マーケティングができていないとのこと。森岡さんが知る限り、日本企業の多くのマーケティング部は、本当のマーケティングを知らず、真のマーケティングはやっていないそうです。

日本にはユニークなCMが数多くテレビで流れてますが、マーケティングの観点から観ると、巨額な広告費を投資しているにもかかわらず、残念なCMが多いとの事です。

日本企業のここ最近の苦境はマーケティングに鍵がありそうです。日本企業には真のマーケターが少ないということなので、更にグローバルで競争激化になるこれからはマーケターができる人は引く手あまたでしょうね。これから社会人になる人はマーケティングを武器にすると食うに困らないと思われます。

マーケティングの本質とは?

「マーケティングってね、売るというよりもね、売れるようにすることだよ」

P066

売る仕事は営業の仕事で、売れるようにするのがマーケターの仕事。分かりやすいですね。

マーケティングの本質とは「売れる仕組みを作ること」です。どうやって売れるようにするかというと、消費者と商品の接点を制する(コントロールする)ことで売れるようにするのです。

p068

マーケティングって情報を集め、商品を開発することだと思いました。もっと奥が深く、売れる仕組みを作るってことなんですね。なのでマーケーターの戦略・戦術によってはコレまで売れてないものも売れるようになるってこと。ずっと売れてない商品が、名前を変えたりして突然飛ぶような大ヒットになることもありますよね。これもマーケティング効果の一つなんでしょう。

コントロールをしないといけない消費者との接点は主に3つあるそうです。

一つは消費者の頭の中をコントロールする、二つ目は買う場所をコントロールする、商品の使用体験をコントロールする。この三つを制すると売れる仕組みが出来上がるとのことです。

消費者の頭の中をコントロールするということは、認知率を上げること。消費者に知ってもらわないことにはそりゃ売れませんよね。納得。

買う場所をコントロールとは売りたい商品が店で取り扱ってくれ、更に目に付く場所に置いてもらうこと。買いたい商品がお店に置いてなくて、他の商品を買っちゃうことはよくありました。

買う場所をコントロールには、配荷率、山積、価格というキーワードが出てきてました。詳しくは本書でご確認を。

ちなみに、価格については余談として、USJがネット上も含めてダフ屋行為を断固阻止することにした理由が書かれてました。

USJはネットでエクスプレス・パスとか各イベントのチケットが売り出されてますが、すぐに完売しちゃってました。これ、やっぱりダフ屋連中が買っていたみたいです。我が家も買いたいチケットが完売していて悔しい思いをしたことが何度かあります。

ダフ屋行為はネットであろうが犯罪。チケットを買い占めて高値で転売する行為は、消費者利益の観点から非常に問題。自分もそう思います。

USJもチケット転売を大きな問題として捉え、今回の転売チケットを阻止することにしたようです。これには価格をコントロール下に置き、ブランド価値を落とさないという理由もあるそうです。

商品の使用体験をコントロールするとは、消費者のリピート率のアップにつながります。リピートされないと長期で売れませんからね。長年愛好されている商品は、この商品の使用体験をコントロールできているということなんですね。

戦略とは?

戦略の定義:戦略とは、目的を達成するために資源(リソース)を配分する「選択」のこと。

P.096

なんか難しい。

「目的(Objective)」とは達成したことです。「資源(Resources)」とは自分達が使えるお金や人員などをイメージしてください。「配分する(Allocate)」とは文字通り分けること。「選択(Choices)」も文字通り選ぶことです。

もうちょっとぶっちゃけた文章で同じことを書いてみましょう。

「戦略とは、何か達成したい目的を叶えるために、自分の持っている様々な資源を、何に集中するかを選ぶこと」

どうでしょう?私の子供達にはこっちの方がウケは良かったです。戦略とは、もっと短く言うと「資源配分の選択」なのです。

P.096-097

こっちの方が分かりやすい。資源は無尽蔵にあるわけではないので、戦う場所を選び、持っている資源を集中して使って戦うってことですね。

ただし、経営資源は人の認識の違いで差があるそうです。経営資源は認識によって増やすことができるので、優秀な上司やマーケターは戦いを有利にするため、経営資源を増やすことができるのだとか。ここで言う経営資源はお金だけではないというのが重要です。

経営資源には、「お金、人、物、情報、時間、知的財産」があり、最も重要なのは人、と語られてました。人は数も大事ですが質も重要とのことです。

目的と目標、戦略と戦術の違い

戦略用語では「目的」は達成すべき使命、「目標」は目的を達成するために経営資源を投入する的のこと。目的(Objective)は戦略思考の中では最上位の概念になるとのことです。

「戦略」は目的を達成するための資源配分の選択であるのに対し、「戦術」は戦略を実行するための具体的なプランになるとのこと。

戦略的思考では、「目的」→「戦略」→「戦術」に展開していくそうです。まず目的ありきの、戦略を考え、戦略に沿って戦術を考えるということですね。

戦略が誤っていると、いくら戦術が良くても目的を達成することはなく、無駄に経営資源を使てしまいます。なので戦術よりも戦略が大事。第二次世界大戦で日本が負けたのは戦略が悪かったということでしょう。目的(石油を確保する)を達成するためには、戦争以外の方法を考えないといけなかったのでしょうね。

SONYやシャープが技術力では優位にいるのに、アップルやサムソンにテレビや携帯電話のシェア争いで負けたのは戦略がまずかったのでしょう。

戦況分析の重要性

精度の高い戦略を立案するためには、質の高い情報は欠かせないとのこと。そりゃそうですね。情報が正確でなかったり、信用できないと、良い戦略はできません。戦争の際、情報を重要視するのはそのため。

ビジネスでいう戦況分析とは、「市場構造」を理解し、それを見方にするためにするとのこと。

画期的な戦略や戦術を自信満々に実行してみると、上手くいかないのはこの「市場構造」を理解せずに行ったケースが多いとのことです。

極端なケースですが、携帯電話の電波が充実してない社会でスマホを売ろうとしても売れないということでしょうか。

一般的な戦況分析として「5c分析」が紹介されました。5Cとは「Company(自社の理解)」、 「Consumer(消費者の理解)」、「Customer(流通など中間顧客の理解)」 、「Competitor(競合する他社の理解)」、「Community(ビジネスをとりまく地域社会の理解)」の5つ。この5つの領域についてまず分析すべきとのこと。わかっていたような、わかっていなかったような。書き出すと分かりやすいですね。

各5Cを診る理由と、診るべきポイントも簡潔に書かれてました。ビジネスマンなら覚えておくと役に立つでしょう。

ターゲット選びも重要

目的を決定したらターゲットとして誰を狙うかは重要。全ての消費者に満足のいく商品やサービスは資源的にも無理があります。また中途半端なものになってしまう。

なのでどの消費者をターゲットにするか明確にしておく必要があるのだそうです。

ここでは「戦略ターゲット」と「コアターゲット」の紹介がありありました。まずは全ての消費者の中から「戦略ターゲット」を選び、次に「コアターゲット」を選び、ここを明確にしておくのが重要とのことです。

「コアターゲット」の深い深層心理を知るために「消費者インサイト」を見つけるというのが書かれてました。「消費者インサイト」とは「消費者の隠された真実」のことで、「消費者インサイト」をうまく衝けば、消費者の認識を大きく変えたり、感情を大きく動かすことができるそうです。

消費者の感情を大きく動かすインサイトをハート・オープニング・インサイトと呼ぶそうで、実はクリスマスのあのUSJのCMはこのハート・オープニング・インサイトを狙ったCMだそうです。可愛い娘の親子が出てきて「子供と本気で楽しめるクリスマスはあと何回もない」というあのCM。

実は自分もこのCMに感情を動かされた一人。このCM観たあと、しっかりクリスマスのUSJへ家族で行きました・・・。しっかりとUSJの戦略にはまったわけです。

ハロウィーン・シーズンに集客力アップを成功させた戦略

実はUSJでは年間を通して10月が1番の集客月だそうです。数学を用いた戦況分析を行ってみると、10月の前後の9月、11月が、集客力アップの伸びしろが大きい未開拓のシーズンであることがわかったのだとか。よってこの9月~11月のシーズンを集中的に攻めることにしたのだとか。

「どう戦うかの前に、どこで戦うかを正しく見極めること」。それが会社を勝たせる軍師であるマーケターの最初にして最重要な仕事であると私は堂々考えています。

P.175

ここに「ハロウィーン・ホラー・ナイト」をぶつけてきて、大成功したということなんですね。他のシーズンに狙いを定めていたら成功はなく、ハリー・ポッターのエリアも出来ていなかったかもしれません。

マーケティング思考を持つとキャリアやビジネスで成功できる

マーケターにならなくても、マーケティング思考を持ってビジネスをすることはあなたを必ず成功に導きます。戦略的な考え方、「大事なものを選んで集中すること」をできる限り日常に活かすことです。

P.259

マーケティング思考を身に着けたいなら、日常で鍛えて習慣にするのが大事だそうです。本書では手の指を使う方法が紹介されました。毎日手の指を使って重要な仕事の優先順位を選択すると良いそうです。

優先順位の最も低い仕事は「やったフリをする」というのには笑っちゃいました。確かに、しょうもない仕事はやったフリでもいいのかな。重要なことをやるのが大事ですからね。

まとめ

本書でも書かれてましたが、日本経済の復活にはマーケティングが重要だと思いました。マーケティングが出来てない中、技術力でまだ世界で持ちこたえているのですから、マーケティングを活用すれば鬼に金棒ですよね。

マーケターとして向いている人、向いてない人がいるとは思いますが、これから自分の職業を目指すなら、マーケターですよ。需要はどんどん増えそうです。転職しても活かせますしね。

このマーケティングの戦略的思考は、ブログのPVアップ、収益力の強化にも応用できそうです。もう少し深く勉強してみるかな。

追記

USJの森岡さん、来年の1月にUSJを退社されるみたいです。自分の意志で退社されるみたいですから、自分がやりたいことはUSJではやりつくしたってことでしょうか。次どこでマーケティングの仕事を請け負うのか楽しみですね。